中国Bizコラム・CCIDの眼

中国ビジネスの眼

 日系携帯電話の中国での飛躍は、険しい道のりである(2008年12月1日)


 無名の携帯メーカーを含まなくても、中国市場は百近くの携帯メーカーで活気に溢れているが、日系携帯メーカーは少なく、中国市場はすでに日本メーカーの傷心の地となっている。2005年より研究開発と技術力の高い日系メーカーの東芝、三菱、NEC、松下、京セラ、SANYO等が相次いで中国市場から撤退した。そして撤退の際に残した共通の言葉は、将来必ず中国3G市場に復帰するということであった。2008年、中国のキャリアの再編とTD−SCDMAネットの商業用テストは、中国3G市場の全面始動の予告であり、日系メーカーもついに待望の3G時代を迎えるが、今日の中国市場で再び甘い夢を見られるのかは、依然不透明である。

 ポイント必然的に中国市場への復帰を選択する
 現在日本はすでに3G時代に入り、市場競争は激しく、携帯電話消費の飽和で日系メーカーは急速に海外市場開拓を展開している。中国は世界最大のコンシューマ・エレクトロニクス製品市場であり、毎年携帯電話の需要量は1.5億台を越え、3G携帯電話市場にはまだ広大な需要空間があり、日系メーカーがもし中国市場である程度上位に食い込めなければ、将来の競争では受身の立場に置かれるであろう。重要なのは日系メーカーが3G携帯,高機能携帯とキャリアカスタマイズの携帯等が強みとなっている点であり、今後の中国の3G携帯電話市場で十分に発揮できるであろう。

 競争の需要と自身の強みは日系メーカーに過去の中国2G市場の悲痛な敗北を忘れさせ、2008年下半期、日系メーカーは再び中国携帯電話市場に進出する決意に燃え、日本市場シェアトップのシャープは上調子で中国市場に戻り、パナソニックもカムバックするため積極的な準備を整え、日系メーカーは中国市場復帰への幕開けとなったのである。

 ポイント日系メーカーが直面する多くの試練
 日系メーカーが中国市場でよい成績を修めるためには、幾つかの重要な問題を解決しなければならない。1点目は、本当に現地化戦略がとれるかどうか。日系メーカーは現地化の市場能力が欠けており、これは日系メーカーの企業戦略と事業戦略に直接関係する。2G市場のビッグビジネスチャンス時も徹底した現地化戦略を立てられなかったため、3G市場は更に困難を来すであろう。現地化競争戦略の支持不足のため、日系メーカーは中国市場競争で最も重要である迅速な反応力が不足し、企業競争での受身の立場になることは避けられない。2点目に、ブランドイメージのアップである。消費者が3G携帯の選択で、最も関心を持つのはブランド力であるが、日系ブランドの2G携帯電話では消費者に多くのマイナスイメージを残してしまった。重要なのは、ノキア、サムソン、モトローラ、ソニーエリクソン等の強いブランド影響力は日系携帯電話がブランドイメージを再度作り出すのを更に困難にさせていることである。3点目に、チャネル競争力を高めることである。日系メーカーの中国市場での敗北の主な原因、チャネルの弱さは回避できない。3G市場において日系メーカーはキャリアが設定したチャネルで商品を広めていくことができるが、社会的チャネルはメーカーがユーザーを確保する主要な通り道であり、日系メーカーは2G市場と同様の戸惑いに直面するだろう。また、日系メーカーの市場撤退後、チャネル業者に多くの混乱を招いたため、チャネルの信頼関係の再建は容易なことではない。

 ポイント3Gは真の転機をもたらすか?
 日本は全世界で初めて3G商用サービスを推進し、日系メーカーは製品研究開発とキャリアの協力などの方面で豊富な経験を持っているが、中国の3G市場は日本の3G市場よりもはるかに複雑で、日系メーカーの強みは複雑な競争環境の中で課題が少なくはない。

 中国市場は三種の3G携帯電話方式があるが、TD−SCDMAトは初期にスタートした3Gネットワークで、かつ中国移動が運営するため、TD−SCDMA携帯は先発の強みがある。しかし、TD携帯の研究開発とブランド実績もまた日系メーカーの最も不十分なところである。比較すると、日系メーカーのWCDMAとCDMA2000製品の強みは最大であるが、二種の3G製品の大規模応用にはまだ時間を要する。他に日系3G携帯のデザインは2Gスタイルの延長で、厚みや重さ、コストパフォーマンスが低いことが欠点となっていくであろう。総合的に見チャネル、日系3G製品の強みは際立ってはいない。

 中国三大キャリアはそれぞれ異なる3Gネットがある。製品カスタマイズ戦略は異なり、モデルも各々特色があり、製品とチャネル戦略に対し厳しい要求を出しており、日系の3G製品設計と3G事業応用での強みを十分発揮することができないのである。

 3Gはチャンスのように見えるが、日系メーカーの成功には多くの試練を乗り越えなければならない。日本企業の不屈の精神を中国企業は見習うべきだが、過去の失敗経験を教訓として生かしてこそ、中国市場でわずかなトップの地位を獲得できるのである。


  • 発行者:CCID(賽迪顧問)通信産業研究センター コンサルタント 李 学芳
  • データ :CCID(賽迪顧問)2008年8月
  • 邦訳者:CCID(賽迪顧問)日本事務所
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