中国Bizコラム・CCIDの眼

中国ビジネスの眼

 中国インターネット産業における3つのホットスポット(2008年12月1日)


 2008年第三四半期も残りわずかとなっている。この収穫の季節に、中国のインターネット産業のチャンスと成果を点検してみれば、北京五輪、動画、SNSは3つのホットスポットであることが分かる。

1.北京五輪がもたらしたもの
  成功裏に閉幕した2008年北京五輪は、政治、経済、文化、科学技術等の面において中国に大きな変化をもたらし、国際社会に中国の進歩や文明を世界に披露した。世界に対する窓口的な役割を担うインターネットは北京五輪期間中においてどのような成果を挙げたか検証してみる。

  まずデータを見てみたい。SOHUへのアクセスは北京五輪のハイライト時に1億回に達しており、QQの動画中継を見る人数も1千万人を超え、8月11日(五輪開幕後初めての営業日)のクリック数は3千万回に迫った。

  NETEASEでは、劉翔選手が棄権した瞬間の動画に対するアクセスは1日2千万を突破した。言うまでもなく、北京五輪が各ポータルサイト対するアクセス貢献度は非常に大きかった。また、その影響は長く続くだろうと予想できる。

  @中国インターネットメディアの実力が大幅増強
  北京五輪放送権に対する争奪戦は2005年より始まった。SOHUが巨額の広告料を引き換えに2008年北京五輪のインターネットサービスを独占したが、SINA、QQ、NETEASE等も数社連盟でSOHUの寡占に対抗していた。主要ポータルサイトの加盟により、北京五輪期間中のインターネット報道競争が更に激化した。報道の数量や即時性においても、報道の内容や形式の多様性においても各サイトとも高いレベルが実現できた。特にオリジナル番組の取材と製作において、インターネットメディアは力を発揮していた。また、動画中継、テロップニュース、インタラクティブ機能等の実現により、インターネットを通じて北京五輪を全面的に報道することを可能になった。これは、中国インターネットメディアの報道能力が向上したのみではなく、インターネットの技術とコンテンツの全面的な向上を意味しているのである。

  Aインターネット利用者の習慣に大きな変化
  CCIDが行なった北京五輪期間中のインターネット利用者の行動に関する調査と統計によると、80.3%の回答者は主にインターネットを通じて北京五輪関連情報を得ており、中でも69.5%の回答者はテロップニュースがタイムリーに情報を得るための良い手段だと思っていることが分かった。68.4%の回答者はインターネットを通じて競技を見たり、番組をリクエストしたりしている。特に25-35才のサラリーマンがこの傾向が強い。ユーザのアクセス時間帯の分析から、9-12時、18-22時のアクセスが特に多いことと、平日と休日のアクセス数には大差がないことが分かった。52.2%のユーザがネット上で行なわれている北京五輪関連の討論番組、クイズ番組あるいはブログに参加している。このようなデータは、インターネットは利用者が北京五輪を理解し、競技を観賞するための重要な手段であることが分かる。そして、双方向性、個性化も利用者とインターネットとの関係をより緊密にしたと言える。

  B広告価値の向上
  2008年北京五輪、インターネットは初めてこのような大規模な国際スポーツイベントで実力を発揮した。インターネットの高い伝達効果やユーザの高いアクセス率は、高まる商業価値と広告価値を示している。いうまでもなく、スポンサーはすでに北京五輪がインターネットにもたらした価値に注目していた。CCIDの統計によると、2008年第2四半期のインターネット広告の成長率は40%を超えた。また、北京五輪がインターネット広告に対する刺激作用は一時的なものではない。北京五輪を通じてインターネットは伝達効果を十分に発揮し、アピールすることが出来、更に多くのスポンサーがインターネット広告の商業価値を認識させることが出来た。このような影響は長期にわたるものである。

  Ceコマースに推進力を与えた
  北京五輪及びパラリンピックではインターネット発券が盛んに行なわれていた。統計によると、北京五輪入場券関連のオフィシャルサイト(www.tickets.beijing2008.cn中国語)はオープン初日で46万アクセス、3万人のオンライン登録を獲得した。700万枚の入場券の販売は700万人の観客だけでなく、10数億人ものeコマース神経を刺激するものである。北京五輪オンラインショップ(www.2008eshop.cn中国語)の成功も北京五輪後のeコマースに対する人々の意識に引き続き影響を与えている。閉幕後の8月25日、アクセス数は105.4万に上り、注文数も852回と新しい記録を創った。従って、我々は北京五輪を通じてインターネットインフラの改善やインターネットメディア間の競争を目の当たりにしただけではなく、中国のインターネットは全世界にその実力と商業価値をピーアルすることが出来、将来のために更なるチャンスを創ることができることを理解できた。

2.紆余曲折の動画の将来
  一般的には、ハイリターンにはハイリスクが付き物である。中国のインターネットにおける動画業務のリスクが最も大きいが、収益率はまだ不明である。新生のインターネット動画ビジネスは2007年末のライセンス騒動で躓いたが、北京五輪で再生のチャンスを得た。SOFU、SINA、NETEASE、QQ及びPPS、PPLive、UUSee、Ku6等の専門動画サイトは大金を惜しまず相次いでCCTVと契約し、北京五輪の放送権を獲得した。

  案の定、五輪放送権はオンライン動画のトラフィック量を増加したばかりでなく、専門動画サイトの経営まで救ったと言える。ある統計によると、北京五輪の開幕式中継中、主要な北京五輪サイトのトラフィック量が急増し、ユニークビジター数は1.61億人に達した。CCIDの調査分析によると、72.7%のユーザはインターネットあるいは携帯電話で北京五輪の中継を観ていた。63.2%のユーザはインターネット動画中継に満足していると答えている。従って、ユーザの行動の変化につれて、インターネットは北京五輪の動画と情報の主なチャネルとなった。将来、ネット動画技術の向上やブロードバンドの発達に従って、ネット動画はユーザに更なる豊富で良質なサービスを提供すると同時に、ユーザも関心をテレビ等の伝統的なメディアからインターネット動画に移すようになるだろう。そしてテレビ、映画、インターネット動画は相互補完的な関係になると思われる。

  今回、CCTVとの協力によって、動画サイトにも新しい方向性――伝統的なテレビメディアとのコンテンツ共用が見えてきた。長期に亘って、動画サイトの成長を制約するのはコンテンツの低俗化とコピーライト問題である。伝統的なテレビメディアとの協力により、根本的な解決策が得られるだけではなく、新しい営利空間を創ることができる。
 
  最近、tudou.comが開発したblack beansサービスは、大量の高品質で合法のコンテンツを提供することにより、ハイエンドユーザを獲得し、更にブランド広告の利益モデルを確立した。

3.中国におけるSNSの普及問題
  SNSは中国インターネット業界ではもはや新しい言葉ではなくなったが、Facebookの出現により、人々は初めてSNSの大きな影響力を認識したのである。その後、Facebookと似ているxiaonei.com、zhanzuo.com、51.com、kaixin001.com等は中国インターネット市場における新しい投資ターゲットとなっていた。

  しかし、xiaonei.comのようなサイトは数千万の登録者と十分な資金サポートを獲得しており、初歩的な成功を収めたものの、多くの慎重な投資者は依然に疑問を抱いていることも事実である。SNSはどのように利益を生み出すだろうか。Facebookでさえプロフィットモデルが確立されたとは言えないので、その追随者はどのように金儲けするだろうか。

  Facebookが出現した当初からSNSは十字路に立った。MySpaceのようなコミュニティサイトになるのか、それともFacebookのようにインタラクティブコミュニケーションを実現するためのコミュニティプラットフォームになるのか。両者の最大の区別は、FacebookのOpenAPIは大きな発展空間を得られ、コミュニティサイトからコミュニティプラットフォームへと変化し、将来的には技術フレームワークとシステムユーザリソースを提供するコミュニティプラットフォームに変化できるのである。

  このような違いにより今後の方向性も異なってくる。コミュニティサイトは今後更に専門化と細分化になり、プロフェッショナルサービスが主要な営利手段となる。一方、コミュニティプラットフォームは各種のソフトウェアとサービスを整合して総合的なプラットフォームを形成する。将来、人々はこのプラットフォームを仕事、勉強及び生活に利用したり、その他のネット活動を行なったりすることも出来る。このようにコミュニティプラットフォームに使われるソフトウェアやサービスは無限の商業価値をクリエートするだろう。


  • 発行者:CCID(賽迪顧問)インターネット・eコマースコンサルティングセンター総経理 陳文
  • データ :CCID(賽迪顧問)2008年10月
  • 邦訳者:CCID(賽迪顧問)日本事務所
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