中国Bizコラム・CCIDの眼

中国ビジネスの眼

 中国電気通信業界について〜山雨来らんと欲して風楼に満つ(2008年12月18日)


 2008年は中国の電気通信産業にとって変革の一年である。業界再編成や3Gライセンスの発行は中国電気通信業者に今までにない試練を与えている。

 2007年の北京五輪通信ブームを経て、2008年も中国国際情報通信フェアが予定通りに行なわれる。これは業界にどのような希望をもたらしてくれるだろうか。

  融合、変革、チャンスは今回通信フェアのテーマである。関連技術、アプリケーション及び製品も披露するだろう。CCIDの長期に亘る通信産業に対する観測と研究によれば、今回の通信フェアの注目点は以下の通りである。

1.クリエイティブな融合業務が現れ、ICT業務は通信キャリアの注目を集める
  業界再編後、激しい競争の中で固定キャリアとモバイルキャリアの融合が加速している。技術的成熟とGSM/CDMA融合型端末の出現によってユーザが違うネットワーク間の切り替えを自由に行なうことが出来るようになった。また、総合的業務プラットフォームや共有データ付加価値業務プラットフォーム上でオペレーションシステムに対するインテグレーションは、ユーザ業務のワンストップサービスを実現できた。固定とモバイル融合は今後のトレンドである。融合課金、総合VPN、モバイルとPHS共有データ付加価値業務等はその好例である。

  現在海外では、関連製品を発表したキャリアもある。例えば、BTとVODAFONEが共同でBLEPLAONEを発表した。CCIDの予測によると、今回の通信フェアで再編後の中国通信キャリアは、融合をきっかけにトータルソリューションを披露することが期待できるだろう。

  これと同時に、融合を背景に、ICTコンセプトが日増しに明確になった。e政府、eコマース、ディスタンスラーニング、モバイルオフィス、ディスタンスビデオ通信等の応用は既に企業情報化の各段階に浸透している。また、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、ユニファイドコミュニケーション(UC)、仮想化等の技術とサービスも段々企業に受け入れられるようになってきた。通話料収入の下落と3Gライセンスによる競争激化により、大企業から中小企業までの情報サービスへのシフトが電気通信キャリアにとって重要度が増しており、政府や企業を通じて個人への浸透戦略も通信キャリアの着眼点になるだろう。一方、通信設備メーカーにとっては、ICTがもたらしたマルチメディアの新しい可能性や通信インフラのアップグレートが新しいチャンスである。

2.3G/ウルトラ3G移動通信技術、設備及びサービスが最も重要
  電気通信産業の再編により、通信キャリアではこれから1年から2年にかけて大規模な配置換とアップグレードが行なわれるだろう。設備メーカーは本通信フェアで3G技術と設備を重点的にアピールすると予想される。中でもTD-SCDMA産業連合は再び連携して3Gのシェア争奪戦に加わるだろう。そして、データデリバリーキャパシティを高めるHSDPAとHSUPA等の製品は注目されると予想される。また、3Gライセンス発行後、ユーザ争奪戦が始まるため、中国モバイル、中国テレコム及び中国ユニコムはこの3Gの前夜祭でピーアルするチャンスを逃がすわけには行かない。中国モバイルと中国テレコムは共に3Gネットワークの構築をスタートさせたため、TD-SCDMAとCDMA2000の競争は業界の関心を呼ぶに違いない。

  3Gネットワークが世界で大規模の商用段階に入るにつれて、ウルトラ3G技術は設備メーカーの重点的な研究開発の対象となってきた。ウルトラ3Gは数年後に実用化すると予想される。ウルトラ3G の三大陣営であるLTE、AIE及び802.16g/m間の競争が激化している。通信キャリアは3Gネットワークを構築すると同時に、次世代技術の選択や3Gからウルトラ3Gへのシフトの問題を考えている。すぐに大規模な商用設備を発表する可能性は小さいものの、数社は本通信フェアで関連技術と製品を披露すると予想される。

3.モバイルネットワークの明日が明るく、海外キャリアの参入が加速
  2.5Gと2.75Gネットワークの中で、インターネット業務は徐々にモバイルネットワーク上にシフトしている。モバイル検索、モバイル音楽、モバイルコミュニティ、モバイルペイメント、モバイルテレビ等がそれである。3Gと3.5Gの商用が加速し、モバイル端末のメモリーと処理能力が向上するにつれて、インターネットにおけるデータダウンロード、email、ナビゲーション、検索、ブログ、インスタントメッセージ、eコマース等の業務はモバイルネットワーク業務の一部となりつつある。携帯電話ゲーム、モバイル検索、モバイルナビゲーション、モバイル広告及びモバイルペイメント等の業務は将来モバイルネットワークの重要な分野になると予想される。

  世界的に見て、モバイルデータ業務が最も進んでいるのは日本と韓国である。日本のモバイルキャリアが提供しているモバイルネットワーク業務は主にモバイル検索、モバイル音楽、モバイルコミュニティ、モバイルペイメントとモバイルテレビである。一方韓国では、2002年にCDMAネットワークから3Gへのアップグレードが実現して以来、通信キャリアSKTとKTFはそれぞれハイエンドモバイルマルチメディアアプリケーションやダウンロードサービスを含むモバイルネットワーク業務を開始した。今、モバイルネットワーク業務は日本と韓国通信キャリアの重要な収入源となったばかりでなく、業界再編後の中国通信キャリアと協力するための良い基礎ともなっている。海外キャリアは業務協力や研究開発の形で中国市場へ進出しようとする動きも今回の通信フェアである程度反映されると予想される。

4.2G/3Gや多業務融合は携帯電話製品の主流
  携帯電話関連製品はいつも通信フェアのホットスポットである。中国モバイルのTDの商用試運転開始や中国テレコムのCDMA業務の進化に伴い、2大キャリアとも端末の大規模な集団購買キャンペーンを行なう予定である。来年の集団購買の結果はある程度3G携帯電話の市場シェアに影響するに相違ない。競争が激化する中、携帯電話メーカーは通信フェアで最新の端末製品を数多く出展し、ピーアルすることによって、ブランディング戦略を強化するだろう。TD携帯電話やCDMA携帯電話は宣伝の重点となるだろう。ネットワークの過渡期を考慮すると、純粋の3Gより2G/3G融合型携帯電話及びモバイル技術/無線技術融合型の端末が主流と予想される。

  マルチ業務融合から見て、テレビ付き携帯電話、カメラ付き携帯電話及びGPS携帯電話は依然主役である。携帯電話テレビでは、「広電系」と「電信系」のスタンダード争いが白熱化に入ったが、CMMBは既に優勢を維持し、特に北京五輪期間中で試験的導入が実現され、反響も良かった。テレビ機能付き携帯電話は端末メーカー展示品の重点である。カメラ付き携帯電話は引き続き高画素数を追及し、今回の通信フェアでは800万画素が主流となると予想される。

  携帯電話製品と技術は引き続きファッション性とファンクションという2大テーマを巡って研鑽されるであろう。3Gネットワークにより携帯電話のアプリケーション環境が改善されるにつれ、携帯電話の知能化アプリケーションは製品のトレンドとなるだろう。タッチパネル携帯電話やスマートフォンが引き続き進歩するほか、モバイルネットワークアプリケーションの良い携帯電話が通信フェアに出現すると予想される。GoogleのAndroiプラットフォームを採用したスマートフォンの発表も期待される。


  • 発行者:CCID(賽迪顧問)通信産業研究センターコンサルタント 李 嘉、謝 洪毅
  • データ :CCID(賽迪顧問)2008年8月
  • 邦訳者:CCID(賽迪顧問)日本事務所
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