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 2008年上半期の中国IC市場を振り返る(2008年12月29日)



 中国IC市場の成長は一段落し、2008年上半期の成長率は11.8%に
  2008 年上半期、中国IC市場の売上高は、同期比 11. 8%増の 2,923億 9,000万円だった。依然として 10%以上の高成長を誇るが、成長率は 5年連続でダウンしている。また、 2008年上半期は、過去 5年で最低の成長率となった。ここ数年続いた中国IC市場の高成長は、川下完成製品の増産に支えられており、長期間の成長期を経て、川下市場の生産量の伸びも鈍化し、IC市場の成長率は市場基数が拡大するにつれて、徐々に低下している。多種にわたる完成製品の生産量が落ちていることが原因だが、川下の完成製品も多くの分野で飽和状態になっており、 2008年上半期に製品生産量が減少した。輸出入については、中国のIC輸出入量及び輸出入額を見てみると、 2008年上半期の中国のIC輸入量と輸入額の伸び率を 2007年上半期と比べたところ、減少幅が小さくない。これは、川下の電子製造業の成長が鈍ったためで、市場ニーズのあるICの輸入スピードダウンを招いた。

08年上半期中国デジタルカメラ市場売上

 2008年上半期、中国IC市場の競争状況に変化はなく、外国メーカーが依然優勢である。CPUの主役は現在もインテルとAMD。メモリーはサムソン、 Hynix、東芝、 Qimonda、 Micronが競っている。デバイスはTI、ST、 Infineon、 NXPがしのぎを削っている。その他の主要製品のリーダー的企業も、ほとんどが外国メーカーである。中国本土メーカーの多くは、設計会社であり、 2008年上半期の上位企業のうち、海思半導体と展訊通信が高成長を見せただけで、その他の企業の発展は思うに任せない。今後数年は、中国IC市場の競争状況に大きな変化はなく、外資系メーカーの優勢が今後も続くだろう。

 

 コンピュータ分野はシェア拡大、通信分野は急成長に歯止め

 2008年上半期、コンピュータ類、コンシューマー類、ネットワーク通信類の三大分野で、中国IC市場の 88.3%を占めた。そのうち、コンピュータのシェアが最大で、プリンター製品等の生産量に陰りが出てはいるが、PCの生産量は高成長( 2008年上半期、デスクトップ型は 23. 2%増、ノート型は 33. 3%増)に牽引されて、中国のコンピュータIC市場は、 2008年上半期3C分野で最も発展速度が速く、シェアは 2007年上半期を基盤にすると 1.1ポイント増加し、伸び率は 14.8%になった。通信製品のIC需要は主に携帯電話( 2008年上半期、携帯電話は 9.7%増)やその他通信製品にあり、各種完成製品の生産量の伸び率、通信IC市場の成長率がいずれも大幅にダウンし、 2008年上半期には 8.5%にとどまった。コンシューマーICの需要は主に、モノクロテレビ、デジタルカメラ、MP3、MP4等のデジタルコンシューマー製品で、 2008年上半期には川下の完成製品の生産量が下がり続けたことにより、コンシューマ―IC市場はわずか 10.1%の伸び率にとどまった。自動車電子は依然、最も急成長した分野で、 2008年上半期の伸び率は 20%を超えた。また、次世代ICカード市場の落ち込みにより、 2008年上半期の中国ICカード市場は 2007年に比べて 10%前後ダウンした。

08年上半期中国デジタルカメラ市場ブランド構成
08年上半期中国デジタルカメラ市場ブランド構成

 依然、メモリーが最大シェア製品
  製品構成に関しては、メモリーが依然として最大シェアを占めるが、2006年と2007年を比較すると、2008年のメモリー価格はかなり安定し、NAND FlashやDRAMの価格が大幅に揺れ動いた。現在のところ、メモリーの性能充実は数年前に比べるとひと段落で、全体的には、メモリー価格はなお下落傾向にあるが、下落速度は過去2年と比べて相対的に小さくなっている。近年の価格下落の影響を受けても、メモリーの出荷量の大幅増加が、価格ダウンのマイナス影響を補っている。PC生産量の大幅増加を受けて、2008年上半期には、CPUやMicroperipheralの市場成長率が比較的高くなった。ASSPやASICは携帯電話などの通信分野製品の生産量の伸び率大幅ダウンの影響を受けて、何とか10%の成長率を保っている。デバイスはほぼ2007年の低迷状態を脱出し、IC市場全体の成長率を僅かに上回った。CPLD、MCU、組み込みCPU等の製品は、安定成長を保っている。
08年上半期中国デジタルカメラ市場画像レベル

 総じて、中国IC市場は、2008年上半期はなお10%以上の成長を保ったが、市場の発展が芳しくなく、市場の伸びも2007年を基礎として5%以上ダウンしており、応用分野ごとの完成製品の生産量は、程度は異なるもがいずれもダウンしている。比較的伸びているコンピュータ分野のノートパソコン生産量の伸びは、2007年と比べて大きな差があり、中でも、川下の影響を直に受ける通信分野では、上半期の伸び率が初めてひと桁ダウンした。製品の伸びも応用分野の成長速度の影響を受けている。コンピュータ市場の成長が著しく、通信分野製品市場は緩やかな伸びになっている。国際IC市場はわずかに回復の兆しがあるが、中国の発展状況はその逆にある。これは実は、中国IC市場発展の必然の流れであり、中国IC市場規模の増大や成熟度が向上するにつれ、中国IC市場の発展速度は国際市場に近づくが、現在のところは、両者にはまだ6ポイント以上の開きがある。将来はキャッチアップし、今後、中国IC市場と国際IC市場とは、より連動して発展していくだろう。

  • 発行者:CCID(賽迪顧問) 半導体産業研究センター 楊斌  李珂
  • データ :CCID(賽迪顧問)2008年8月
  • 邦訳者:CCID(賽迪顧問)日本事務所
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