中国Bizコラム・CCIDの眼

中国ビジネスの眼

 中国IOT産業ボトルネック解決のために(2010年1月26日)

―― 2009年中国 IOT回顧と展望


 一、 2009年中国 IOTの発展と今後の展望

 

 2009年は、中国 IOT(インターネットオブシングス)にとって特別な一年だったと言える。 8月7日、温家宝首相は無錫にて、 IOT技術を強化するべきだと発言した。 8月26日、工業情報化部はIOT分野に注目し、その研究を重視していると発表、9月11日には、工業情報化部センサーネットワーク標準化チームが成立している。 11月3日、温家宝は人民大会堂において「科学技術による中国の持続的発展」というタイトルでスピーチを行い、科学では、新たな戦略性のある産業を選択していくことが非常に重要だと改めて強調し、センサーネットワーク、IOTにおいてカギとなる技術の強化を指示した。中国政府上層部のこのような行動は、IOT産業強化が、中国の今後にとって国家戦略意義のある重要な政策であることを示しているのである。

 

  CCID( 賽迪顧問 )の研究によると、中国 IOT産業は平穏な住まい、電力や公共の安全、健康チェック、インテリジェント交通、環境保護など多くの業界において見通しが明るいことがわかっている。市場規模は百億、さらには千億を超えると予測されており、2010年中国IOT産業規模は2000億元、2015年までに中国全IOT市場規模は7500億元、年間複合成長率は30%を上回り、PCやインターネット、モバイル通信を超える見込みである。

 

  2009 年を中国IOT元年とするならば、2010年は中国IOT産業発展のカギとなる一年だろう。CCID(賽迪顧問)は、「政策先行、技術主導、ニーズ促進」が2010年中国IOT産業発展への主要モデルになると見ている。

 

  2010 年に中国政府が実施する一連の IOT関連の産業政策や、発展改革委員会、工業情報化部などが打ち出す予定の関連サポート政策は、中国 IOT産業の発展を加速させることになるだろう。同時に各省市や産業パークも、サポート政策を打ち出す予定であり、江蘇省や北京などがその先駆者となるだろう。また、北京郵電大学、中国科学院、南京郵電大学、無錫中国 IOT産業研究院、中国 IOT標準化組織などは、技術や標準化面の大幅な進展を期待されている。そして、業界応用がこの先数年における IOT産業の主な推進力となる、と CCID(賽迪顧問)は見ている。インテリジェント交通、都市セキュリティ、インテリジェントネットワークなどの業界市場は成熟度が高く、技術も成熟しており、政府サポートも強く、市場の見通しが明るく、巨大な投資チャンスがあるため、この先数年の IOT産業における重点分野となるだろう。

 

 二、中国IOT産業のボトルネック

 

  中国 IOT産業を見渡すと、悲喜こもごもであることがわかる。 IOTの業界応用ニーズは幅広く、潜在的な市場規模は巨大であり、政府各部門はIOT産業に対して積極的な態度である点が「喜」の部分である。そして「悲」の面としては、IOT産業が発展の初期段階にあるため、多くの制約要素が存在することが挙げられる。

  CCID( 賽迪顧問 )が発見した、中国IOT産業の解決すべきボトルネックは以下の通りである。

 

  1 、標準化体系の構築

  標準(基準)とはあらゆる技術に対する統一規範である。 IOTは中国においてまだ初期段階であるが、たとえ全世界で統一された標準体系が打ち出されていなくても、標準化体系の構築は、 IOT産業発展への重要な先決条件なのである。

  2 、自主知的財産権を

  自主知的財産権を持つコア技術は、IOT産業が引き続き発展していくための基本的推進力となる。国家レベルや地域のIOT研究センターを設立し、国家戦略的新興技術として自主知的財産権を持つコア技術を掌握していくことが重要なのである。

 

  3 、実行可能な政策

  IOT技術は、国家戦略的新興技術であり、国家の戦略とその持続的発展に重要な意義を持つため、実行可能な関連サポート政策の実施が中国 IOT産業成長の1つのカギとなる。特に、金融、交通、エネルギーなど国民経済に関連する重要業界においては、政策の主導が産業発展に与える影響は大きい。つまり「政策先行」は中国 IOT産業の大規模な発展を保障すると言えるのである。

 

  4 、各業界主管部門の協調と相互作用

  IOTの応用分野は広範囲にわたり、多くの業界で重複している部分はあるが、それぞれの業界が異なる政府部門に属している。産業化過程では、各業界主管部門の協調と相互作用の強化が必要であり、それが IOT産業の順調な発展につながるのである。例えば、ラジオ・テレビ、電信、交通業界の主管部門が提携を強化し、共同で情報化やインテリジェンス交通システムの構築を推進していくといった事が挙げられる。

 

  5 、特定プロジェクトの実施

  IOT 産業の急速発展のためには、重要な応用分野における特定プロジェクト、つまりカギとなる技術の研究・開発やその応用模範の推進が必要である。「一部で試験的に行い、重点を手本としていく」産業発展モデルが、引き続き全産業の順調な発展へとつながるだろう。


 

コラム購読 著作権 : 全てCCID(賽迪顧問)日本事務所に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

 

お問い合わせ

CCID日本事務所