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 金融危機の影響は小さく、中国BPO市場動向は変わらず(2010年2月25日)

―― 2009年中国 BPO市場回顧と展望


一、 市場回顧

 

  1 、市場規模と成長

  2009年BPO( ビジネスプロセスアウトソーシング )は金融危機の影響を受け、前半は低く後半は高いといった発展状況であった。上半期の国内外企業の見通しでは、市場規模は前年同期と比べて下降するだろうとされていたが、経済が落ち着き再度上昇したのに伴い、下半期アウトソーシング業務は好転し、業界全体は依然として高成長率を保った。2009年、中国BPO市場規模は57.55億元、前年同期比39.2%増となった。

  図 1 2006-2009年 中国 BPO市場規模と成長

中国 BPO市場規模と成長

データ出典:CCID(賽迪顧問)  2009.12

 

  2 、市場の特徴

  2009 年度中国 BPO 市場全体を見ると、基本的に安定しており、 BPO 各分野の主要サービス業者 20 社のシェアは、 2008 年の 18社のシェアとほとんど変わらず 38.25%であった。 ITサービス産業のその他分野と比べると、その市場は依然として集中していると言える。一部優位を占めるメーカーのシェアは大きくなり続けている。

 

  細分化業界別に見ると、金融、製造、電信(通信)、物流市場が伸びている。中でも、電信キャリアの統合や、 3G業務の展開などに伴い、電信分野の業務は大きな伸びが期待されている。

 

  細分化分野の中では、データ処理市場に比べ、情報管理やコールセンターの市場集中度が明らかに高い。主要グローバルBPOサービス業者は、主にグローバル企業ユーザー向けに情報管理アウトソーシングサービスを集中して提供しており、上位 5社の合計シェアは 50%を超えている。

  2009 年中国 BPO市場の特徴は以下の通りである。

 

 @情報管理、データ処理業務が急速成長、コールセンター業務伸び率は鈍化

  細分化分野を見ると、データ処理が依然として大きなシェアを占めており、 45.1%となっているが、成長速度から見ると、情報管理業務が急速成長を実現しており、前年同期比 61.2%増となり、 BPO細分化分野のうち最も急成長した業務となった。逆にコールセンター業務は、数年の急速成長を経た後その成長速度は反落し、前年同期比 12.7%増にとどまった。その原因には、産業チェーンが日増しに成熟し、伸びが緩やかになる一方で、資本市場が活発化したため企業自らがコールセンターを設立することが多くなったことが挙げられる。

 

 A金融は安定成長、電信、製造は前年同期より速い成長

  金融業界は従来のBPO大口顧客として、依然として速い成長速度を維持している。同時に、製造、物流業界のニーズも前年同期と比べて大きく伸びており、特に電信業界は 3Gプロジェクトの始動に伴い、データセンター,コールセンターのアウトソーシング業務が伸びることが期待されている。 2009年の BPO業務伸び率は 45.9%に達し、3G業務の展開が電信企業 BPO業務に新たなチャンスをもたらしていることがわかる。電信業界は、金融、製造に次いで第 3位となり、将来同業界における BPO業務の伸び率は 50%を突破する見込みである。

 

二、 市場動向

 

  この先、中国プロセスサービス(BPO)産業規模は、 2009年の 57.55 億元から 2012年には 195.12億元に増え、年間複合成長率は 50.5%に上る見込みである。この高速成長には、まだニーズが十分に掘り起こされていないためと、管理層がBPOサービスを重視していることが理由として考えられる。

 

  2008 年《国務院弁公庁のサービス業発展に関する若干政策措施の実施意見》、《財政部 商務部のグローバルアウトソーシング業務発展サポート関連財政・税務に関する意見》、商務部の《 2008年サービス取引への指導意見》などの実行が、情報サービスおよびアウトソーシングサービスをサポートする政策である。 2009年 2月、国務院弁公庁はアウトソーシングサービス発展問題への回答を発表し、北京、天津、上海、重慶、大連など 20都市を中国アウトソーシングサービス模範都市に確定することに同意した。同時に政府は財政資金、税収、労働制度、人材育成、電信サービス、融資などの面からアウトソーシングサービス産業の政策バックアップを強化するとしている。国務院弁公庁《アウトソーシングサービス産業発展問題への回答》では、条件に合った先進技術を持つサービス企業から、 15%の税率で企業所得税を徴収し、オフショアアウトソーシング業務収入に対しては営業税を免除することが提出された。財政部 商務部の《 2009年度グローバルアウトソーシング業務促進に関する資金管理の通知》では、中央財政が企業に育成資金を与えることを明確にしている。また、各レベルの地方政府は毎年、専門資金によりアウトソーシングサービス産業の発展をサポートしている。これらの資金は主に企業発注の補助、税収返還、研究・開発や育成補助などに使われる。このような国家のBPO産業への政策サポートに伴い、国内全産業が成長期に突入し、今後中国BPO産業は国内全てのニーズを満たす方向に発展していくだろう。


 

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