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  中国ソーラーパネル産業の規模と実力(2010年12月15日)


1、世界のソーラーパネル市場は急速な成長を続けている

 

  2009年、世界のソーラーパネル新規設置容量は合計で前年比46.6%増の5800MWに達し、ソーラーパネル市場が引き続き急速成長を遂げていることを示した。近年原料であるシリコンの供給が不足しているため、結晶シリコン太陽電池の生産コストは増加している。一方、薄膜太陽電池(アモルファスシリコン (α-Si)系、微結晶シリコン(μ c-Si)系、カドミウムテルル(CdTe)系、銅 ・インジウム ・ガリウム ・セレン( CIGS )系を含む)は、変換効率の向上並びに大量生産によるコスト削減を通して市場占有率を着実に上昇させている。

 

  各国のソーラーパネル設置状況をみると、ドイツの新規設置容量は3000MWに達し、世界トップとなったことが分かる。それに伴い、その世界市場シェアは2008年の41.1%から51.7%に増加した。この主な理由は、最も速い成長を遂げていたスペイン市場が鈍化したことにある。2009年、スペイン政府はソーラーパネル設置に対する補助金を削減し、その結果同年の新規設置容量は2008年の2500MWから60MWへと急減したのである。

 

  図1 2005-2009年世界のソーラーパネル新規設置容量とその成長率

2005-2009年世界のソーラーパネル新規設置容量とその成長率

  データ出典: 賽迪顧問( CCID) 2010 04

 

2、中国のソーラーパネル産業規模は世界トップである

 

  2009 年、中国の太陽電池生産量は3850MWとなり、成長率は世界平均を引き続き上回る93%となった。

 

  図2 2005-2009年中国の太陽電池生産量

2005-2009年中国の太陽電池生産量

  データ出典: 賽迪顧問( CCID) 2010 04

 

3、中国のソーラーパネル関連企業は産業チェーンの川中・川下に集中している

 

  中国の太陽電池産業は主に産業チェーンの川中・川下に集中しており、競争は日々激化している。2008年末の時点において、多結晶シリコン製造企業は 37社、シリコンインゴット /シリコン棒製造企業は143社、シリコンチップ製造企業は 138社、太陽電池モジュール製造企業は357社、太陽電池応用製品製造企業は1000社以上存在していた。その中でも、川下(モジュール、太陽電池応用製品など)の競争は特に激しい。その主な理由は、川下製品の生産投資は少なくて済み、ライフサイクルも短いということである。技術と資金のハードルが低いため、多くの企業が参入しているのである。

 

  現在、中国の太陽電池セル市場は主に、無錫尚徳( Suntech Power)、南京中電(China Sunenergy)、天威英利( Tianwei Yingli)、常州天合(Trina Solar)などのメーカーに占拠されている。その中、無錫尚徳はすでに世界一流の太陽電池メーカーの一つとなっている。これらの企業は先端的な生産技術を有しているため、生産規模は大きく、製品の品質も安定している。また、原料の供給を保証することもできるため、高い競争力を持っているのである。その中の多くは国内上場または海外上場企業であるため、融資チャネルの改善を通して企業の生産規模を拡大し、製品の競争力を強化することも可能である。無錫尚徳や天威英利などの一部企業は産業チェーンの川上にも参入しており、川上・川下資源の垂直統合を通して効果的に競争力を強化させている。

 

4、中国においてソーラーパネルの設置数は爆発的に増加している

 

  2009年、一連の補助金政策の牽引の下、中国においてソーラーパネルの設置数は爆発的に増加した。ソーラーパネルの新規設置容量は過去累計の設置容量と同じ120MWに達した。現在中国のソーラーパネル市場は主に、通信・工業応用、農村・辺境地域応用、系統連系型太陽光発電システム、ソーラーエネルギー製品などの分野に集中している。

 

  図3 2005-2009年中国におけるソーラーパネルの設置容量

2005-2009年中国におけるソーラーパネルの設置容量

  データ出典: 賽迪顧問( CCID) 2010 04

 

5、今後のソーラーパネル産業においては、生産コスト・消費エネルギーの削減に焦点があてられる

 

  ソーラーパネル産業の今後の発展趨勢としてまず挙げられるのは、結晶シリコン太陽電池の製造過程において、コストと消費エネルギーの削減に焦点があてられるということである。次世代の多結晶シリコン技術であるシリコンチップの高効率化・薄型化・大面積化、並びに半自動製造設備の全自動化・インテリジェント化などの技術と設備の改善を通して、太陽電池の生産コストと消費エネルギーの削減が図られるのである。

 

  また、新材料・新構造・新技術などに基づいた次世代太陽電池が続々と現れるということも趨勢の一つである。生産コストや消費エネルギーの削減、変換効率やエネルギー再生率の向上などをめぐり、熱光起電力( TPV)セル並びに量子ドット型、量子井戸( QW)型、色素増感型、有機薄膜型などの新型太陽電池が次々と発表されているのである。


 

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