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中国の炭酸リチウム資源買収ブーム(13/12/16)

 新エネルギー自動車の産業化において苦境に立たされる完成車メーカーや関連部品サプライヤーには未だ利益創出の光が見えず、思い描いていた輝かしい未来図と惨憺たる経営状況にある現実との狭間で身動きできない状態にある。しかし新エネルギー自動車産業への期待は依然大きく、「兵馬がまだ動かぬ内から糧秣(まつ)を準備しておく(物事を行う前にしっかり準備する)」と言われるように、資源サプライヤーはすでに動き出している。その代表格である天斉リチウム業社は豪タリソン社を「蛇が象を飲み込む」如く買収し、海外のリチウム鉱物資源争奪戦に向けた第一砲を轟かせた。


 一、タリソンを迎え入れた天斉リチウム業の炭酸リチウム市場における大いなる賭け


 長い間売買停止になっていた天斉リチウム業社は2012年12月、40億元を限度に資金調達を行い豪タリソン社の65%の株式を取得すると公表した。まず支配株主を通じて豪州にウィンフィールドホールディングスを設立、その後同ホールディングスを主体として買収を完了する。実はこの買収に先立ち、ライバルであるロックウッド社が1株6.5カナダドルでタリソンの普通株の100%を現金により取得すると宣言していた。天斉リチウム業は、買収によってリチウム鉱物資源が独占されるのを防ぐため、タリソンの株式の19.99%を公開買い付けた。ロックウッドの全面的な買収計画は阻止された格好だ。


 図1. タリソン買収前後の天斉リチウム業の持株状況の推移


  続き>>、文字数:5,515、図:1、表:3


  • 寄稿 :CCID(賽迪経智)投資コンサルティングセンター 呉 輝
  • 監修:ファーイースト・パートナーズ株式会社(CCID日本事務所)
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