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阿里巴巴モデルにおける中国インターネット金融M&A(13/12/17)

 モバイル決済、SNS、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどインターネット情報技術の進化に伴い、インターネット決済、サプライチェーン金融に代表される新興金融モデルがここ数年急速な広がりを見せている。インターネット大手・阿里巴巴は傘下の淘宝(タオバオ)、天猫(Tmall)の2大プラットフォームを展開し、美団、陌陌(momo)、快的打車など複数の業界内企業へ次々に投資、多方面に及ぶサービスを提供している。こうした阿里巴巴関連のM&Aが依拠するロジックとは何か?阿里巴巴系企業を代表とするインターネットの巨頭によるM&Aがインターネット金融業界をどう発展させるのか?業種を越えた阿里巴巴のインターネット金融から見えてくるヒントを探る。


 一、 EC+決済:阿里巴巴系列企業のインターネット金融2大プラットフォーム


 阿里巴巴のインターネット金融領域の2大プラットフォームは傘下のECとサードパーティー決済である。淘宝(タオバオ)、天猫(Tmall)、美団、陌陌(momo)、快的打車などのEC(eコマース)プラットフォームがフロントエンドとして取引データの取得・整理を行い、阿里巴巴グループの既存のサードパーティー決済プラットフォーム・支付宝がバックエンドとして金融決済サービスを提供する。傘下のECプラットフォームと金融サービスプラットフォームの結合でインターネット金融領域のシステムを形成する格好だ。


 阿里巴巴はM&Aにより傘下のECプラットフォームを拡充することで多方面に及ぶサービスプラットフォームを構築、インターネット金融領域に進出するための重要なデータを取得した。淘宝、天猫の2大プラットフォームが既に人々の生活に不可欠な位置を占めている中で、美団、陌陌(momo)、快的打車に次々とM&Aを仕掛けた。最近では旅行サービスを中心に扱う窮遊網のM&Aを決めた。淘宝、天猫を頼りにしながら、様々な業界の企業のM&Aによって見えざるネットワークを形成。人々の衣食住や行動、交友関係など様々な方面から幅広いユーザーを対象とした多面的なサービスを展開している。ECによって大量の有用なデータを取得しインターネット金融の信用評価体系を提供している。


 表1 阿里巴巴系列企業のEC業界M&A


 続き>>、文字数:5,539、表:1


  • 寄稿 :CCID(賽迪経智)投資コンサルティングセンター 江 晶晶
  • 監修:ファーイースト・パートナーズ株式会社(CCID日本事務所)
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