中国Bizコラム・CCIDの眼
世界の製造業移転の動きが加速し先進製造業の本国回帰が進み、中国の低価格帯製品業界は空洞化のリスクにさらされている。空洞化の流れを変える方策として産業用ロボットに期待がかかる。産業用ロボットの活用により、低価格帯製品の労働力不足を補い、高価格帯での遅れを埋め合わせることができる。更に、産業構造の調整が迅速化され、高価格帯領域に踏み出すステップとなる。また、企業の運営コストを低減し成長の効率を高めることで、生産率の低さや人件費の高さなど中国の製造業の抱える多くの課題に対処することもできる。
国産化への道は遠いものの先行きに光
産業用ロボットは先進製造業に不可欠な設備として、国の製造業や科学技術の水準を比較する重要な指標となっており、中国の関係各機関はその研究・開発に力を入れている。工業・情報化部は中国の高度生産設備製造業を世界に広げようと、産業用ロボットに代表されるスマート製造技術を重点的に支援している。科学技術部はまず産業用ロボットの高付加価値な中核的機能部品の生産体制を整備し、多様な用途に対応した産業用ロボットの付属製品の量産化を進めている。2013年9月5日、工業・情報化部は「情報化と工業化の高度な融合のための特別行動計画」(2013〜18年)を発表。スマート製造生産モデルの育成を提起し、産業用ロボットなど先進製造技術の生産プロセスへの応用を加速させるとした。更に重慶、ハルビン、南京、上海、青島など地方政府も地元の産業クラスター形成の加速や産業チェーンの整備をにらみ、産業用ロボット産業の推進を相次いで打ち出した。
また、同年の中国の産業用ロボットへのニーズは、各級政府の後押しを受け急速な伸びを続けた。ここ数年における自動車工業や電子製造業の成長に伴い、産業用ロボット業界は急発展し市場規模も急成長している。中国で新たに設置された産業用ロボットは2万7千台を超える勢いだった。
図1. 2010?2013年の中国の産業用ロボットの新規設置台数
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