中国Bizコラム・市場ウオッチ

中国ICTコラム

中国バラエティストア

 

富井 伸行

上海智造空間有限公司 総経理特別助理。


京都生まれ。札幌学院大学卒業。ニトリで17年修行を積む。(日本勤務10年+中国勤務7年。海外商品開発部長、海外品質部長、海外物流部長)その後、拠点を本格的に中国に移し、一伍一拾(イーウーイースー)中国版100円ショップ285店ローカル企業現職。営業本部長を経て、董事長直轄となり日本式最新モデル店舗を続々展開中。売上をUPさせた状態での標準化づくりの責任者。勤務時間外を使い、週20時間売場に立ち、ワーカーと作業し、お客を観察しつづけている完全現場主義者である。

第十三話 中国IKEAから見出す 中国で売るヒント(その2)

 IKEAで是非働いてみたいと思うくらいIKEA好き


 その理由は、商品開発に関する発想が飛び抜けているから。この業界には、どうしても既成の概念というものがあって、インテリア雑貨や家具などはどうしてもその枠組みから抜け出すような新商品を開発していくのは難しい。発明が困難である。しかし、IKEAは常に新しいものを産み出し続けている。IKEAがその古い枠組みをひょいひょいと越えていく、日本の同業他社がマネしてそれを追随しているという追っかけっこが続いている。逆転することのない追いかけっこである。IKEAのすごいところは商品だけではない。商品表現技術が素晴らしい。日本へ出店してからはどんどんおもしろい売場づくりを取り入れている。新規なものを取り込み新しくなれるマインドを持っているところがIKEAという企業の持つ懐の広さである。なぜ、IKEAだけが先に進むことができるのか?未来を見て商品をつくっているからである。


 日本のIKEAでは、ペンギンが空を飛ぶ!?


 日本のIKEAが売場づくりに取り入れている思想は『旭山動物園の行動展示』だと思っている。旭山動物園は、動物の生態そのものを惹きだして活き活き生活している動物の姿をお客に見てもらうことで動物にとってもお客にとっても楽しい状態を維持するしくみをつくったことで日本で一番入園者数の多い動物園になった。動物園という枠組みを変えた。これを商品と置き換えてみよう。 商品の良さを表現する一番上手な方法は、お客がその展示を見て「あ、こういうふうに使えばいいんだ。」と理解できること。さらに一歩先に行くと、自分ならこういう風に使ってみたい。だからこれを買おうと思わせられることだ。参考までにIKEAのやり方を少し説明する。モデルルームを使い実際の生活シーンをイメージさせる。そこに商品を実用的な形で組み入れる。POPで機能を説明する。現実の商品サンプルをボードに貼りつけ展示して見せる。大量販売できる重点管理商品をさらに売る工夫である。例えば、使用途中の袋を保存する商品のPOP。「開けた袋をぱちっと止めて、湿気や乾燥から守ります。」そして、そのボードには8種類の実際に使われているサンプルが ボードに貼りつけ固定されている。私は、これを見てペンギンが透明アクリルのトンネルを猛スピードで空を飛ぶように泳ぐさまを想像した。『行動展示』を雑貨に翻訳するとこうなるということ。ここに『創意工夫』という名の『ジャパン・テクノロジー』がある。  >>続き

今年度のコンテンツをご覧いただくには、購読(無料)のお申込みが必要です。

お問い合わせ

CCID日本事務所